連載インタビュー記事 第二弾
“秘密結社ゆとり”の山田冷麺氏による、ゆとりケア取材インタビュー記事第二弾です!
私総務部長深町の、介護に対する想いを熱く語らせて頂きました!!
※”秘密結社ゆとり”は、ゆとりケアの関連団体ではありません。
以下、http://www.himitsukessya-yutori.com/よりインタビュー記事の引用になります。
http://www.himitsukessya-yutori.com/single-post/2017/…
こんにちは、山田冷麺です。以前ご紹介した介護の場で働くゆとり世代・深町さんのお話の続きをお伝えします! 前回は介護における自立支援についてお伺いしました。 今回は、介護における問題解決のために深町さんが具体的に行なっている取り組みについてお聞きしていきます!!
山田冷麺(以下緑色): なぜ介護の仕事をしよう思われたんですか?>
深町さん(以下オレンジ色): 正直、初めからこの仕事を志してた訳ではなくて、僕の母親が介護事業所を立ち上げたんですね。僕の方はというと、大学時に音楽を始めて、ミュージシャン一本で生きていこうと思って、就職しなかったんですよ。その時に母親から人が足りないから手伝ってくれと頼まれまして、「手伝う程度ならいいよ」というのがきっかけですね。入ってみたらどえらいことになってたんですけどね(笑) 大袈裟かもしれないですけど、僕が辞めたら死人が出るなとその時に思って、それで今に至ると。
僕の家は家業みたいなものがないので想像しづらいんですが、逃げ出したいとは思わなかったんですか?
僕の仕事は、利用者さんと従業員の方々の命をお預かりしているので簡単には投げ出せないですよね、この考えだけだと受け身になってしまうんですけど。最初、これは僕の宿命だなと思って、夜も帰れず1週間泊まり込みで働いたり、土日しか帰ってお風呂に入れないみたいな。そういう生活になって1年以上続けたぐらいですかね、そこでふと思って、これは僕だけの宿命ではないなと。これは全人類の課題になってくるぞ、と思いまして(笑)
宿命というのは誰しも老いていくという点がですか?>
老いもそうですし、日本は戦後71年経って平和国家を貫いてきて、そうすると高齢者の方とかは確実に増えていくんですよね。ということは平和国家を貫くと日本の現状に他の各国もなると思うんですね。今、実際にそうなりつつある国もたくさん出てきてますし、その中で日本が最先端ですよね、超高齢化社会。ただ平和国家を貫こうとするとそうなりますし、戦争は起こせない。だから人類の宿命だと思ったんです。そう思った時に、これは解決していかなきゃいけないなっていう僕の使命感に変わったんです。だから、今がどんなにきつくても頑張ろうと思うし、やってることが喜びには変わりますよね。嫌々やってたことが、僕がやらなきゃ誰がやるんだっていう。このゆとりケアが解決していければどこの事業所とか国でも解決できるだろうというのが確信なので、僕じゃないと出来ないっていう想いでやってます。
いつ頃からそう思うようになったんですか?>
これつい最近です(笑) 今年(2016年)の本当に一番キツイ、獄中での闘争のような時ですね(笑) これは僕だけの宿命じゃないんだと、その時に思いまして、ただ何か行動を起こそうと思っても、介護保険は財源が社会保障で国のことなので政治が関わってくるんですよね。なので前回、話した介護保険意見交換会というのを行ってます。
意見交換会にはどんな方が参加されるんですか?>
この地区担当の公明党区議のとも宣子さんという方と進めていって、墨田の在宅介護事業所の代表の方を僕が何人か知っていたのでその方達と、それから現場で働く方達とかもお呼びして今では、公明党都議会議員で墨田区担当の加藤雅之さんや、色んな人に関わって頂いてます。
深町さんの実感として今の現場でどういった問題があるんですか?>
まずは働き手が足りないっていうところですね。うちは最近、働き手が増えてはいるんですが、ただ毎年この冬の時期っていうのは高齢者の方が体調を崩しやすい時期なんですよね。入院してしまったりとか、施設に入所が決まったりとか、今まで普通だったのに介護がないと生活できなくなってしまう方が増えるんです。
働き手不足の原因は給与の低さですか?>
それも一因としてはありますよね。一因でしかないですけど。 給与が見合わないってことですよね。 やることが多すぎる割に報酬が少ない。それはどこもそうですね、僕もそうですし、事業としてはかなりのリスクですよね。 何が多いかっていうと書類作業がすごいんですよ。報酬における根拠書類。 これが今、大問題なんですけど、
それはどういったものですか?>
介護保険を請求する上での根拠となる書類ですね。例えば本当にやったかどうかとか、記録ちゃんと取ってるかとか、計画に基づいてやれてるかとか。その根拠に基づく書類があっての報酬だったりするんですが、その書類を揃えるのが非常に大変でして、非現実的なんですよね。 これは日本の皆さんに是非知っていただきたい(苦笑) これが解決できればお金の問題なんて解決すると僕は言ってるんですけども、なかなか解決できないですね。 現場で何が起こってるかというと、たくさんの大変な介護現場に訪問して、帰ってきてから書類をやるんすよ。それで行政の監査みたいなのが来て、そこでもし根拠書類に不備があった場合は、報酬を返してって言われるんですね。 すごい汗水垂らして働いて、利用者さんの命を守るために働いて、それで得た報酬からヘルパーさんの給与も払ってるので、書類に不備があった場合に給与から返してとはヘルパーさんには言えないですよ。だから事業所が負担するしかなくて、しかも求められてる書類の量は非現実的で、なので正直、事業やることがリスクでしかないですよね。
根拠書類の問題も区議会議員の方と話されたんですか?>
話しました。その結果、日々の記録書類のサービス実施記録というのがあるんですけど、それを作る手間を最小限に簡略化して、ただ法令もバッチリ守れてて、根拠も示せるようなもの、なおかつみんなが管理しやすいものを意見交換会のメンバーの方に作ってもらったんですね。 ただまずは行政に聞いて使わないとダメなので、区議の方と介護意見交換会で協議して、行政の方と繋いでもらって対話の場を設けてもらいました。 介護保険課の指導係の方と対話させて頂きまして、そのあとすぐ二回目を設けていただいて、介護保険課長も来て頂いて、許可が下りたので墨田区では実際に運用しています。
実際に使ってみてどうですか?>
めっちゃ使いやすくて、今まですごい時間かかってた業務がすぐ終わるようになりました。具体的な数字でいうと、1週間かかってたものが1日で終わるぐらい楽になりなした。 ただ他にもやることが山積みなので、それを1個1個潰していくって感じですね。 書類業務の部分をどんどん簡略化していけば、報酬に見合った仕事量になるでしょうし、そしたら働きたいって人も増えますよね。
前回の意識改革と今回の根拠書類が現状の課題ですか?>
今はそうですね。ただ僕だけでは突破口は開けなくて、本当に意見交換会したが故に知恵を出し合って「じゃあ、これできるじゃん!」と開けて来るんですよね。書類一つとっても、区議の方が「これを取り上げてやってみたらいいんじゃないですか?」ってなって、「じゃあこれ作ったんでやってみていいですか?」と、そういう知恵の出し方ですね。だからやらないとわからなくて、だから続けることにすごい意味があって、なので現状見えてる課題としてはその二つですね。
深町さんから介護について何か伝えたい事などはありますか?>
どうやって自立支援してけばいいのかとか、介護において大事なことってなんだろうなって僕なりになんですけど考えまして、 介護っていつ終わりが来るかわからなくて、ただいつか終わりは来るんですけど、保育みたいにいつ終わるかわからないのが、本人も家族も苦しいと思うんですね。だから結構絶望になりがちなんですが、「生きてて本当に良かったな!最後まで生き切ろう!」とか、「生まれ変わっても楽しみだな」って思ってもらいたいんすよね、絶望をいかに転換して、希望を持って生き切って頂くかが、介護に携わる僕らの使命だと思うんで、そこどうやってやってけばいいかなと思って、 まず出来ることが、その人が歩んで来た人生を認めてあげることだと思うんすよね。 例えばよくあるのが、介護を受けるようになって昔の生活のことを否定的にお話されるんですよね。「私は悪いことばっかしてきたから今こうなってるんだよね」とか、酒タバコがひどくてとか、色んな人に迷惑をかけてきたとか。だから今、看てくれる人もいないんだって御自分で話される方が結構多いんですよ。でもそうやって否定的に捉えちゃったら希望持って生きていけないじゃないですか。 きっとその人の人生を深く知らないといけないと思うんですけど、介護者側がその人の人生を否定的に思ってやってたら、絶対伝わっちゃいますから。だからこそ利用者さんと働き手の意識をいかに変えていくかが今のテーマでして。
変な質問ですが、なぜ希望を持ってもらいたいんですか?>
単純に希望があった方がいいっすよね(笑)絶望は辛いじゃないすか。僕がそうだったんですけど、ずっと絶望の淵にいてずっと暗いところにいるみたいなのはやっぱり辛いじゃないすか。 だからこそ希望を提供していきたいというか、希望持ってた方が楽しいっすよね人生(笑) この取り組みは大変でしょうすけど、ただめっちゃ楽しくなりますよね。皆さん希望を持って生き切って頂いて、で希望を提供して頂くっていうのをしたいんすね。
終わりに:山田冷麺 僕自身、介護の問題はずっと他人事で、『少子高齢化・社会保障費が足りない』そんな問題は国の偉い人たちが考えて答えが出ないんだから、きっともう解決は無理なんだろうと勝手に思っていた。
『単純に希望があった方がいい』
問題解決のため奔走し、実際に行動してきた深町さんが言うからこそ、説得力があり、力強い言葉だと感じた。 行政・利用者・家族・介護者、立場の異なる者同士が納得する答えを出すには恐ろしく時間がかかるだろう。効果や意味があるかわからなくても、やらなければいけない場面や理不尽なことも多いに違いない。何本も絡まった糸を一本一本ほどくように、それでも深町さんたちは考え、解決に向けて行動している。
最後までご覧いただきありがとうございます!!
読者の方々に感謝感謝であります!!!
本年もよろしくお願い致します!
H29.01.16